プログラム

第1日目:8月8日(土)
9:00~ 受付
9:30~10:00 開会行事(開会挨拶,名誉学校心理士推戴式)
10:15~11:15 基調講演①(Aポイント:①,②を合わせて1ポイント)
<演 題>「学校心理士のアイデンティティとは」
<講 師>石隈 利紀(日本学校心理士会 会長・筑波大学 副学長)
11:15~12:15 基調講演②(Aポイント:①,②を合わせて1ポイント)
<演 題>「学校心理士に期待すること」
<講 師>文部科学省初等中等教育局 担当者
12:15~13:00 休憩(昼食)
13:00~14:00 日本学校心理士会総会(是非ご参加ください)
14:10~16:10 ・ポスターセッション(筆頭発表者 F:3ポイント,連名発表者 H:1ポイント)
・自主シンポジウム①(企画者,出演者 G:3ポイント)
・「学校心理士資格」連絡協議会(関係者のみ)
16:20~18:20 ・大会シンポジウム(A:1ポイント)
 <テーマ>「一次的,二次的,三次的援助の具体化とその方法」
 <企 画>山谷敬三郎(北翔大学 教授)
 <司 会>岡田 守弘(日本学校心理士会 副会長・東京医療学院大学)
 <話題提供者>
      樽木 靖夫(千葉大学 教授)
      飯田 順子(筑波大学 准教授)
      西山 久子(福岡教育大学 教授)
 <指定討論者>
      大野 精一(日本教育大学院大学 教授)

・日本学校心理士会年報編集委員会シンポジウム(A:1ポイント)

・自主シンポジウム②(企画者,出演者 G:3ポイント)
19:00~20:40 情報交換会(懇親会)札幌ビール園(会場からバスで向かいます。帰りはフリーです)
第2日目:8月9日(日)
9:30~ 受付
10:00~12:00

研修・午前の部 A:1ポイント

  • ①いじめ防止対策推進法の実効性を高める学校心理士の援助サービス
    八並 光俊(東京理科大学)
  • ②教員へのコンサルテーション―特別支援教育・個別学習の事例で考える―
    上村惠津子(信州大学)
  • ③学級経営に活かす,社会性と情動の学習―SEL-8Sプログラムでの取組―
    小泉 令三(福岡教育大学)
  • ④学校心理士としての授業改善や学習相談のあり方について
    松尾 直博(東京学芸大学)
  • ⑤学校危機対応の実際
    瀧野 揚三(大阪教育大学)
  • ⑥支援につながる多角的アセスメント―KABC-Ⅱの活用をとおして―
    小林  玄(立教女学院短期大学)
SV研修①【Ⅲその他】
(注1)  学校教育相談(School Counseling Services by Teachers in Japan)とは何か
      ―学校心理士あるいは学校心理学との関連で―
      大野 精一(日本教育大学大学院)
12:00~13:00 休憩(昼食)
13:00~15:00

研修・午後の部 A:1ポイント

  • ⑦学校教育に活かすアドラー心理学
    会沢 信彦(文教大学)
  • ⑧学校心理士が取り組む学習支援
    岡  直樹(広島大学)
  • ⑨学校におけるチーム支援について―学校組織の観点から―
    山口 豊一(跡見学園女子大学)
  • ⑩通常学級の中の発達障害―「スペクトラム」の理解と支援―
    芳川 玲子(東海大学)
  • ⑪ストレスマネジメント教育―積極的生徒指導の心理教育的アプローチとして―
    藤原 忠雄(兵庫教育大学)
  • ⑫Q-Uによる学級集団アセスメントとコンサルテーション
    粕谷 貴志(奈良教育大学)
SV研修②【Ⅱコンサルテーションおよびスーバービジョン】
(注1)  コンサルテーション・スーパービジョンの方法とその実践
      橋本 秀美(大阪樟蔭女子大学)

※現時点での予定ですので,変更する場合もあります。

(注1)SV研修は,学校心理士スーパーバイザーのみ参加可能です。資格更新に必須ですが,ポイントは付与されません。参加を希望される方は,本大会への参加申し込みと共に,大会ホームページで研修参加申し込みをしてください。
(注2)上記の講師の所属は,一部を除き平成27年2月28日時点のものです。

8月9日(日)研修会 概要

【午前の部】

  • ① いじめ防止対策推進法の実効性を高める学校心理士の援助サービス

    八並 光俊(東京理科大学)

    本研修では,平成25年に公布された「いじめ防止対策推進法」に基づく生徒指導体制における学校心理士の援助サービスについて学習します。学校現場での同法の理解や実施は,未だに不十分な状況です。学校心理士を中核とする生徒指導体制づくりでは,同法の理解と一次的教育援助体制の構築が不可欠です。学校心理士の援助サービスとしては,「個と学級・ホームルーム集団のアセスメント」と「計画的・系統的なガイダンスカリキュラム」があげられます。また,実務的な面では,業務記録のデータベース化が重要となります。
  • ② 教員へのコンサルテーション ―特別支援教育・個別学習の事例で考える―

    上村 惠津子(信州大学)

    学校心理士の重要な役割の一つとして,コンサルテーションがあります。コンサルテーションは,「異なった専門性や役割をもつ者同士が子どもの問題状況について検討し今後の援助のあり方について話し合うプロセス(作戦会議)」(石隈,1999)と定義されています。そしてその特徴は,互いに異なる専門性を持つコンサルタントとコンサルティの関係が対等であるということです。しかし,実際のコンサルテーションでは,両者の対等な関係を維持していくことが難しいと感じる場面が多々あります。研修会では,特別支援学校における個別学習の事例をもとに,コンサルテーションのロールプレイを行いながら,コンサルティの専門性を尊重しつつ展開するコンサルテーションのコツについて考えます。
  • ③ 学級経営に活かす,社会性と情動の学習 ―SEL-8Sプログラムでの取組―

    小泉 令三(福岡教育大学)

    すべての児童生徒を対象とした一次的援助サービスとして,多くの種類の心理教育プログラムが実践されつつあり,それらは総称として,「社会性と情動の学習」(ソーシャル・エモーショナル・ラーニング)と呼ばれることがあります。その中で,今回は学校で8つの社会的能力の育成を目指すSEL-8S(セル・ハチエス)プログラムについて,特に学級経営の視点から,その考え方や具体的な学習内容例,また実際の導入方法とこれまで明らかになってきた教育効果などを紹介します。学級担任教師の指導力向上だけでなく,学年や学校全体,さらには小中学校9年間で一貫して取り組むことによる中学校ブロック全体の教育力向上によって,児童生徒の学校適応の促進に資することができる方法の一つです。この機会に,多くの学校心理士の方々に理解していただけることを期待しています。
  • ④ 学校心理士としての授業改善や学習相談のあり方について

    松尾 直博(東京学芸大学)

    学校教育において授業や学習は,言うまでも無く主要な営みです。子どもたちにとって,授業や学習を通じて成長できることは,何よりの喜びであり,充実感を味わえることです。反対に,授業や学習で躓き,困難を抱えることは,学校での生活そのものを苦痛なものにしてしまう可能性があります。学校教育と心理学の両方の専門家である学校心理士は,よりよい授業や学習について理解し,発展させ,必要に応じて改善するための知識を持たなければなりません。本研修では,学校教育における授業や学習を全ての子どもたちにとってよりよいものにするために,どのような視点や知識を持てば良いか考えていきたいと思います。内容としては,学校心理学における3段階の心理教育的援助サービスの考え方を基に,授業改善や学習相談のあり方について触れていきます。また,学びのユニバーサルデザインや,これからの新しい教育における授業改善や学習相談についても考えていきます。
  • ⑤ 学校危機対応の実際

    瀧野 揚三(大阪教育大学)

    学校の危機管理について,教職員が理解をすすめ,危機事態にチームで対応できるように準備することが求められています。まず,学校危機管理について,事件・事故や災害を回避するために学校が取組む「リスク・マネジメント」と,事件・事故や災害が発生した直後に,被害を最小化し,早期回復のための「クライシス・マネジメント」に分けて解説します。具体的な事例について,グループワーク等の演習を通じて,積極的な準備の必要性を理解していただきます。さらに,学校危機対応における予防の考え方を説明し,心のケアを含めた学校における中長期にわたる対応について理解を深めていただきます。学校の危機管理と危機対応について,学校心理士として教職員をリードしていただけるような研修の機会にしていただければ幸いです。
  • ⑥ 支援につながる多角的アセスメント ―KABC-Ⅱの活用をとおして―

    小林  玄(立教女学院短期大学)

    子どもへの支援は,まずその子どもを理解することから始まります。子どもの困難さに気づくことは比較的容易ですが,肝心なのは,その困難さの背景を理解し,適切な支援の方針をたてることなのです。近年,学校教育の場にもアセスメントという言葉が定着してきています。子どもが抱える困難さをアセスメントする時に大切なことは,複数の視点をもって実態を把握するということです。ここでは,認知尺度と習得尺度の2つの観点をもち,子どもの認知能力と学力間のディスクレパンシーや特性を把握することのできる日本版KABC-Ⅱを紹介し,検査結果をどのように支援の方針につなげていくかを解説します。また,検査結果の数値からの量的解釈だけでなく,検査中の行動観察や日頃の様子などの質的情報も含めた多角的なアセスメントの在り方についても言及します。
  • ○SV研修① 【Ⅲその他】
    学校教育相談(School Counseling Services by Teachers in Japan)とは何か ―学校心理士あるいは学校心理学との関連で―

    大野 精一(日本教育大学院大学)

    学校教育相談は,教師(教諭・養護教諭等)が中核となって学校で行われている教育活動です。1965(昭和40)年5月に刊行された『生徒指導の 手びき(第一集)』(文部省)で第七章「教育相談」と章立てされ,続く『生徒指導の手引(改訂版)』(文部省・1981昭和56年10月刊),さらに2010(平成22)年11月に出た『生徒指導提要』(文部科学省)でも同様な扱いです。今日まで半世紀の歴史を持っています。不思議なことに「生徒指導」と「教育相談」あるいは「(スクール)カウンセリング」について共通した理解がなく,大学等で行われている教職科目や免許更新講座等での「教育相談」は統一した内容や枠組みがないと言っていい。このSV研修では,学校における教育相談実践を「学校教育相談School Counseling Services by Teachers in Japan 」という視角から学校心理士あるいは学校心理学との関連で歴史的・理論的に整理して,今後の展望を示したいと思っています。

【午後の部】

  • ⑦ 学校教育に活かすアドラー心理学

    会沢 信彦(文教大学)

    岸見一郎・古賀史健共著『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)という本をきっかけに,昨年からアドラー心理学がちょっとしたブームになっているようです。私は,アドラー心理学は,学校心理学と並んで,「学校教育に活かせる心理学」の最有力候補だと考えています。
    この講義では,①子どもの不適切な行動の4つの目標,②勇気づけ,③共同体感覚,という3つの概念を中心に,アドラー心理学の基本的な考え方をご紹介していきます。なお,私は,「アドラー心理学の全体像をお伝えする」というよりも,「学校教育にアドラー心理学を活かす」ことを重視したいと思います。
  • ⑧ 学校心理士が取り組む学習支援

    岡  直樹(広島大学)

    学習支援は,心理・社会面の問題に対する援助とともに,学校心理士が果たすべき役割の中核となるものです。学校心理士が取り組むこの学習支援の特徴の一つは,心理学の理論や知見に基づき支援を行うところにあります。そこで,本研修ではまず学習支援の基礎となる心理学的な知見について解説します。そして,そのような知見をふまえた学習支援の方法について,学習観の問題の解決や学習方法の改善を念頭におきながら,認知カウンセリングの手法を中心に紹介します。その際,個別の学習支援ばかりでなく,グループに対する学習支援,あるいは学級での学習支援についても取り上げます。また,自分の専門教科以外の教科についての学習支援のあり方,考え方についても言及します。
  • ⑨ 学校におけるチーム支援について ―学校組織の観点から―

    山口 豊一(跡見学園女子大学)

    学校の援助サービスのシステムは,「個別の援助チーム」,「コーディネーション委員会」,「マネジメント委員会」の3つのレベルで整理されています。「個別の援助チーム」は,特定の子どものための担任,保護者,養護教諭,SCなどによるチームの形態をとった援助であり,個別の教育支援計画を作成し援助します。「コーディネーション委員会」は,学校・学年の援助サービスのコーディネーションを行い,教育相談部会,生徒指導部会,校内(支援)委員会がこれに当たります。「マネジメント委員会」は,企画・運営委員会に当たり,援助サービスのマネジメントをします。これらのシステムが,チーム支援体制,チーム支援にどのように機能するのか,一緒に考えていきます。
  • ⑩ 通常学級の中の発達障害 ―「スペクトラム」の理解と支援―

    芳川 玲子(東海大学)

    最近,「子供たちの行動をどのようにとらえたらいいのか,わからなくて困っている」という教師が多い。また,「特別支援に関する新しい概念がどんどん出てきて,発達障害についての知識は増えたものの,通常学級の中でそれをどのように役立てたらいいのかわからない」との声も聞きます。確かに,知識の側面から理解するだけでは,学校現場での「困り」は解決されず,児童生徒への対応について,現在でも多くの課題が残されています。
    本研修は,①通常学級において理解されにくいといわれている「自閉症スペクトラム」傾向の児童生徒について概説したうえ,②問題行動を含む諸行動に関するアセスメント及び理解の仕方を紹介し,さらに③具体的な対応の立て方について考えることを目的とします。学校心理士は学校現場においてコーディネーター的な役割を果たす可能性が高いことから,今回は特にコーディネーター的な視点から研修をすすめます。
  • ⑪ ストレスマネジメント教育 ―積極的生徒指導の心理教育的アプローチとして―

    藤原 忠雄(兵庫教育大学)

    消極的生徒指導(問題行動に対応する後追い指導)から脱却し,積極的生徒指導(児童生徒一人一人の学校生活を有意義かつ充実したものにする指導)の充実が求められています。そうした積極的生徒指導の心理教育的アプローチの一つとして,ストレスマネジメント教育があります。
    ストレスマネジメントとは,ストレスと付き合い上手になることです。現代社会はストレス社会と言われて久しく,この社会でより良く生きるためには,全ての人に必要不可欠なスキルです。そうしたスキルを習得し日常生活で活用できるように支援するのがストレスマネジメント教育です。本講義では,ストレスと付き合うために必要な知識を簡単に整理するとともに,様々な対処方略の中からリラクセーションを取り上げ,リラックス上手になることの意義と必要性を体験的に理解します。
  • ⑫ Q-Uによる学級集団アセスメントとコンサルテーション

    粕谷 貴志(奈良教育大学)

    いじめ,不登校,学級崩壊など,学校現場がかかえる教育課題は多様化,複雑化してきている現状があります。これらの問題は,近年の児童生徒の多様な実態を背景としているため,適切な対応策を見出すことが困難になっています。問題を適切に理解することができれば,解決の糸口を見出すことができることも多いのですが,その理解自体がむずかしく,また,その理解についての教師間の共通認識を形成することも困難なことが少なくありません。
    本講座では,「楽しい学校生活をおくるためのアンケートQ-U」(図書文化)を用いて,教職員の協働による児童生徒理解及び,学級集団アセスメントをおこなう方法について解説します。また,得られたアセスメント結果を教師間の共通認識の形成と具体的な対応策につなげていくコンサルテーションの視点についても触れていきたいと思います。
  • ○SV研修② 【Ⅱ コンサルテーション及びスーパービジョンの方法】
    コンサルテーション・スーパービジョンの方法とその実践

    橋本 秀美(大阪樟蔭女子大学)

    子ども達をとりまく発達上の課題や心理的不適応,それらに伴う問題行動などの多様化に伴い,コンサルテーションや学校への危機介入など,学校心理士の活動はますます重要なものとなっています。さらに,学校心理士の養成や実力向上・資質の向上のために,スーパービジョンは欠かせないものです。ここで,スーパーバイザーとスーパーバイジーの関係は信頼関係に結びついた関係でなければなりません。また,スーパービジョンは指示よりも,共に協働作業をするともいえます。このように,スーパービジョンの実際は,実践を通して行われる具体的,直接的,個別的訓練をさし,評価的な介入が行われるのが一般的です。
    本研修講座では,そもそもスーパービジョンとは何か?という原点にたちかえり,その実践から応用まで,事例などを通して深く掘り下げ,参加の皆様と,ともに振り返り,学ぶ機会となればと考えています。